マルスウイスキー信州マルス蒸留所見学

150726124010E-M1-1 食べ歩き
マルスウイスキー信州蒸留所ポットスティル

信州マルス蒸留所のポットスチル

中央アルプス麓の小さな蒸留所

日本にウイスキーの蒸留所がいくつあるかご存知ですか?
NHKの朝ドラ「マッサン」で一躍脚光を浴びた日本のウイスキー。竹鶴政孝や鳥井信治郎など先人の努力により今や「ジャパニーズ・ウイスキー」として確たる地位を築いています。
世界が認める日本のウイスキーですが、現在、国内でウイスキーを製造している蒸留所はわずか8か所のみ。
そんな数少ない蒸留所の一つが駒ヶ根にあります。
マルスウイスキーを製造する信州マルス蒸留所。鹿児島に本社がある本坊酒造が運営している小さな蒸留所です。

信州マルス蒸留所

コンパクトな信州マルス蒸留所 雰囲気はキルン塔

マッサンをスコットランドに送った岩井喜一郎

ウイスキー好き以外には知名度が低いマルスウイスキーですが、実は日本のウイスキーの父、竹鶴政孝とも繋がる歴史のあるウイスキーブランドです。
私の知る範囲で簡単に紹介すると、竹鶴政孝(マッサン)は、大阪高等工業学校醸造科(現在の大阪大学工学部)に学んだのち、学校の先輩である岩井喜一郎という人を頼り摂津酒造に入社します。当時、岩井喜一郎は摂津酒造の常務でした。
その後、竹鶴は会社の命でスコットランドに留学。ウイスキーの製造法を習得し、帰国後いわゆる「竹鶴ノート」をとりまとめ会社に提出します。ウイスキーづくりの全てを細かく記したこの「竹鶴ノート」は常務であった岩井の手にも渡りました。
岩井は大学講師でもあり、母校大阪大学で醸造を教えていましたが、本坊酒造の会長である本坊蔵吉は岩井の教え子。そして岩井の娘は、蔵吉に嫁ぎます。
恩師であり義父となった岩井喜一郎はその後本坊酒造に招かれ、1960年から「竹鶴ノート」を基にウイスキーづくりに取り組みます。これが現在のマルス。
マッサンの思いを今に受け継ぐ日本の”地”ウイスキー、それがマルスウイスキーなのです。

蒸留所へはタクシーで

さて、蒸留所見学ですが、滞在していた駒ヶ根高原家族旅行村キャンプ場からは大田切川を挟んで反対側、約3kmほどの距離があります。
試飲したいのでキャンピングカーでは行けません。キャンプ場のレンタサイクルで行こうかとも思いましたが、アップダウンが激しそうなので諦め、結局タクシーを呼びました。料金は迎車代も含めて2千円ちょっと。ちなみに老犬2頭と猫1匹はエアコンの効いたキャンピングカーで留守番です。

信州マルス蒸留所の貯蔵庫

樽が並ぶ貯蔵庫


信州マルス蒸留所、行ってみたらとてもこじまんりとした蒸留所でした。
工場見学は受付で順路を記した地図を渡され、個人で勝手に見て回るスタイルです。
蒸留した原酒を寝かせて熟成させる貯蔵庫から始まり、マッシュタン(糖化施設)、発酵槽、そしてポットスチルと見て回ります。
ポットスチルは2基。蒸留作業は寒い冬のみで現在は稼働していないとのこと。
途中、マルスウイスキーの父、岩井喜一郎のことを紹介するパネル展示がところどころにありますが、見学はあっという間に終了。小さい蒸留所とはいえ少し拍子抜けでした。
マルスウイスキー信州マルス蒸留所無料試飲

信州の無料試飲(水割り)

試飲コーナー

見学が終わったら、試飲コーナーで試飲です。
この日の無料試飲は、長野限定のブレンデットウイスキー「信州」のトワイスアップと梅酒、ジュースの3種類。
有料試飲は、ブレンデッドの「岩井」と「TWIN ALPS」、ブランデー、ジャパニーズスピリッツ「光遠」など。ウイスキーは150円、ブランデーは200円、光遠は300円でした。

本坊酒造のオリジナルスピリッツ光遠の試飲

ジャパニーズスピリッツ光遠を試飲


無料の信州のほか、岩井と光遠を試飲。光遠は白麹を使った原酒にゆずや緑茶などの日本のボタニカルを加えて再蒸留したスピリッツ。飲むと鮮烈なゆずの香りのあと深みと甘みのある余韻が残りなかなか面白いお酒でした。
ボトルもオシャレで購入しようか迷いましたが、この手の酒は飽きてしまいそうな気がしたので見送り。お土産コーナーで岩井と信州を購入し、工場を後にしました。
正直言って、試飲コーナーもお土産コーナーも現在一般に販売しているものだけで少し期待外れでした。工場に行けば生産中止のシングルモルト「駒ヶ岳」の味見ができるかなとひそかに期待していたのですが残念です。

川を散歩

ちなみに、工場は大田切川のすぐ横に立地しており、敷地の裏手から川に下りることができます。
川には水量が少ないときは徒歩で渡ることができる歩道が整備されており、帰りは歩いて対岸に渡りました。

南アルプスを眺めながら大田切川を渡る 冷たい水と白い花崗岩が印象的

南アルプスを眺めながら大田切川を渡る
冷たい水と白い花崗岩が印象的


木曽駒ヶ岳を源流に天竜川へとまっすぐに下る大田切川の水はとても冷たく清冽で気持ち良かったです。河原にはスイカ割を楽しむ家族連れがたくさんいました。
川を渡るとそこは駒ヶ根キャンプセンターというキャンプ場。ここからタクシーを呼んで帰ったら、往路より500円ほど安く帰れました。

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